君の隣




それからは、高杉と離れずにいた。



高杉も、私を、側に置きたがった。




一時も離れたくなかった。



なつ「ねぇ、高杉・・・。次はどこへ?」



高杉「琴平に行く。」




なつ「琴平か・・・。知り合いでもいるの?」




高杉「花街からの繋がりだ。」




私は、じとーっと、高杉を見た。



高杉は、花街では有名で顔を知らない者はいないくらいの常連の上客だ。



顔は利く。



その視線に気付いた高杉は、意地悪な笑みを浮かべる。




高杉「ふっ。嫉妬か?」



なんか、悔しい・・・。



私は、強がる。



なつ「違いますっ!」



プィっと顔を逸らした私を、面白がるように、高杉は、私の腰に腕を巻きつけ耳元で囁く。




高杉「やきもちやきが・・・。くくくっ。」



なつ「だから、違うって・・・っ。」



目の前に高杉の顔があり、口付けをされた。




それだけで、私の心は、甘く跳ねる。




高杉「可愛い奴・・・くくくっ。」



艶のある笑みを浮かべ、覗き込まれた私の胸は高鳴り、一気に体温が上がる。




こんなに、好きなのが、悔しい。





高杉「なぁ、なつ・・・。俺のこと、どう思ってる?」





いきなり、真剣な顔つきで私を見る。





私は、正直に自分の気持ちを言う。




なつ「好き・・・よ?」




疑問のようになってしまうのは、怖いからだ。





その答えに、高杉は固まる。




え?何か悪いことを言った?



不安に思って、高杉を見つめると、ギュッと抱きしめられた。




なつ「え?」



今度は、私が固まる。




高杉は、抱きしめた腕に力を入れて、耳元で囁く。




高杉「やっと、俺の女になった・・・。」




やっと?それって、高杉も私の事、好いていてくれていたの?




私は、高杉の腕の中で、高杉を見上げた。




視線がぶつかる。




高杉「俺も、お前を好いてる・・・。もう、離さん。わかったな?」



その言葉は、私が、長年聞きたかった言葉だ。




夢のようだ。




口付けを交わしながら、心に誓う。




私は、この人にずっとついて行く。





< 96 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop