明日晴れるといいね!
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 平日のこの時間帯はちょうど暇になるらしくサラリーマン風の男性が一人ラーメンをすすっているだけだった。
 
「へい、いらっしゃい。どうしたの今日はお友達。」
 「だな」涼子が美和の顔を覗き込む。

 「いつものやつ二つ。いいよね」
 美和はうなずいた。

 「へい、おまち」
 パイタンスープの赤しょうが入りラーメンが湯気を上げながら並んだ。

 「いただきます。うんおいしい」
 一口食べた美和が言った。

 「だろ。ここのおっちゃん顔は今一だけどラーメンはうまいんだ。」
 「涼子ちゃんそりゃないだろ。となりのお嬢さん可愛いし、おいしいって言ってくれたからこれサービス」

 餃子が二人の前に差し出された。
 「おっちゃんいいとこあるじゃん。でもわたしん時はそんなサービスしてくれたことないし。でもどうせ残りもんだろ」

 「聞いてなかったのかな。可愛いっていったろ。」
 「ごめんな、ブスで。はよ食って出よこんな店。」

 「でさ、まだ名前聞いてなかったね。」
 涼子が蓮華でスープを掬いながら聞いた。

「あそうだった。ゴメンナサイ。わたし大島美和っていいます。」
「美和ちゃんか。私は城島涼子よろしく。」

「こちらこそ。」
「ごちそうさま」

 お金を出そうとした美和に
 「いいよ。社会人に恥じ掻かせない」

「美和ちゃんまた来てね」
「はい、ごちそうさまでした」

「あのじじい、人の話しっかりききやがって」
美和はくすりと笑った。
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