明日晴れるといいね!
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「実はさバイクで来てるんだけどこれから
海でも見に行かない。好きなんだ。地平線から出る太陽見るの。よし今日も頑張るぞって気になれるんだなこれが」
 
美和はうなずいた。
 駅のコインロッカーに涼子のギターと美和のバックを入れ二人は駅の駐輪場へと歩いた。
 そこにはよく磨かれた450のバイクがあった。
 
「すごい」
 美和の第一声だった。

 「私の宝物。まださローン払ってんだけどね!さ、行きますか」
 美和にもう一つのヘルメットが渡された。
 
「しっかりつかまってなよ。」
 美和は涼子の腰に回した手に力を入れた。

 「レッツゴー」

 バイクは全身を身震いさせイグゾースト音とともに勢いよく夜の街へと飛び出した。
 夜風ってこんなに気持ちいいの。今まで受験勉強に明け暮れていた美和にとって全てが新鮮だった。バイクの地を駆る駆動音が心地よく美和に伝わってくる。

 涙がなぜか頬を伝わり、この気分をくれた涼子にたまらなく感謝したい気持ちになっていた。

 まだ夜風は多少肌寒かったが逆にこの興奮が美和の体を熱くしていた。同級生に対して自分が今体験していることを誇りたいような気分になっていた。

 すれ違う車のライトが一瞬に通り過ぎる。
深い闇を切り裂いていくような不思議な感覚を美和は感じていた。

 どのくらい走っただろうか。バイクはベンダーショップに止まった。
 「寒くない」
 涼子が尋ねた。美和は首を横に振った。

 「コーヒーでものもっか」
 涼子は自販機で2本のコーヒー缶を買ってきて一本を美和に渡した。

 涼子は一口口にすると
「うめ~」
 そういって飲み込んだ。

 「どう、なんか不良になったような気がしない。」
涼子が言った。

 「ちょっと。でもたのしい」
 「そっか。はは」

 涼子は二口目のコーヒーを喉に通した。つられるように美和も飲んだ。
 「さ、もう少しだから頑張って行きますか。」
 
「はい」
 そううなずくと二人は再びバイクに跨った。
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