明日晴れるといいね!
5
 「美和、今まで何してたの」
 帰ってきた美和の頬に母の喜美恵が平手を下ろした。
 弟の惣一もまだ帰っていないようである。
 「もう、お願いだから、これ以上お母さんに」
 そういうと喜美恵は泣き崩れた。
 美和は黙ったまま風呂場に行きシャワーを浴びた。涙が溢れ水しぶきとともに美和の体を伝い流れ落ちた。叩かれた頬がひどく熱く感じられた。
 喜美恵はまだその場に泣き崩れていた。母に責任のないことは美和自身一番よく知っている、いや母が一番つらい立場にいることもよく分かっていた。ただ自分をむちゃくちゃにしてしまいたかったのかもしれない。そんな美和には母の気持ちなど考える余裕などあるはずも無かった。
 その日弟の惣一は帰ってこなかった。
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