明日晴れるといいね!
6
美和は次の日一日中部屋に閉じこもっていた。

一切人に会うことを拒む自分がいた。無口だが優しく美和に接していた父が自分達を裏切り、出て行くなんて美和には到底信じられなかった。

今までの父という存在が何だったのか今の美和には怒りの対象としてしか考えられなかった。

 昼過ぎ美和の担任である杉浦が尋ねてきた。
下で母の呼ぶ声がしたが黙っている美和にそれ以上声は掛からなかった。約一時間ぐらいして玄関のドアの閉まる音がした。

 「美和、今先生がいらして今の学校に居ずらいんなら転校してはどうかって」

 扉の外で小さく母の声がした。
 また無性に涙が溢れた。今までの生活がこんなにももろく崩れるなんて誰が想像できただろう。

 今まで父という存在で成り立っていたものが、父の裏切りによってもろくも崩壊してしまった現実。

 それも美和と同じ学年の高校生と逃げた父親に対する嫌悪感。父親がこの子を抱いているかと思うだけで頭がおかしくなりそうになった。

 ただ思われるのは幼い頃近くの公園でよく父にブランコにのせてもらったこと。父と手をつなぎ帰ったあの道。あの優しかった父は今はもういない。

 美和にとって今までの父親の存在は絶対的存在であっただけに、一度その偶像が壊れると美和自身の崩壊にもつながりかねなかったのである。
< 5 / 22 >

この作品をシェア

pagetop