明日晴れるといいね!
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食事をするときも母とは一言も交わさず、
読書が好きで読み溜めた本も今はむなしく見えた。

 なにもする気力が湧いてこない。ただ時間だけが時計の音とともに過ぎていく。
 大学という目標に向かって日々机に向かっていたあの日が今は遠く感じられる。

 このままでは私自身ダメになる。美和もそれはよく分かっていた。ただ自分の身勝手で

母や家庭を捨てた父がどうしても許せなかった。私たちに対する裏切り、その衝撃があまりに大きすぎて美和は何一つ手につかなかったのである。

 食事をしているとある日母の喜美恵がいった。

「お母さん、このまま家にいても仕方ないからどこか勤めにでるわ。美和はどうするの。転校する?美和を大学にやるぐらいの蓄えはあるから心配しないでいいのよ!」

 これには答えず、食事を済ますと美和は二階へと上がってしまった。

 まだこれから先の事なんて美和には考えられなかった。あの日以来、弟の惣一も帰ってこない。だが翌日また警察から電話が入った。

惣一が喧嘩して補導されたというのだ。
 母は惣一を引き取りに警察に向かった。その間美和はぼんやりと二人の帰りを待った。
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