竜王華伝 (完)
俺に来てほしくなかったのか?

『あ~あ。じゃあ、帰ろっかなっ!郁も帰るでしょ?』

『…ぇ…、ああ。帰るぞ。』

『あ!ちょっと、先いってて?すぐ、追い付くから!!靴紐がほどけちゃって!』

『分かった。早くこいよ!下いるから!』

………俺が降り終わった。

歩道橋みたいに高台になっているここ。

階段を、一段一段降りているのに。

美森はこない。

美森?

まさかっ!いや、でも。

『郁。ごめん。』

そんな声が聞こえた。
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