ずっとそばにいる。
挨拶 ~一歩を踏み出す勇気~
車で20分ぐらい走った。
涼太「そろそろ着くよ?」
サツキ「ねえ…どうしよ?…ドキドキしすぎて…」
涼太「大丈夫。俺が一緒にいるから。」
サツキ「うん。」
涼太「ここ。」
サツキ「でっか!!! 大きすぎるでしょ!!!」
涼太「そうか? 麻生教授の邸宅ほどじゃないだろ?」
サツキ「教授の家は別。 でっか~い!!!」
涼太「よし行こっか?」
サツキ (抱きつく)
涼太「よしよし。俺がいるから。」(ナデナデ)
サツキ「うん。」 (チュッ)
涼太「いきなりはずるいだろ… 家に帰ったら仕返ししてやる!」
サツキ「え~(笑)」
涼太「俺も超ドキドキしてるよ?これまでにないくらい。」
サツキ「うん…」
涼太「リラックスして?大丈夫だから。」
サツキ「うん。」
涼太「じゃあ行こっか?」
サツキ「うん。」
ピーンポーン♪
涼太 母「は~い!今開けるわ♪」
涼太 母「いらっしゃ~い♪」
サツキ「は…はじめまして!武藤サツキと申します。」
涼太 母「可愛い~♪」
涼太 父「涼太可愛い彼女見つけたな!」
涼太 母「ささ!入って!」
サツキ「お邪魔致します…」
涼太 母「今お茶入れるわね♪」
涼太 父「さ!ここに座って!涼太も。」
サツキ「は…はい。失礼します。」
涼太「親父…テンション高い…」
涼太 父「そりゃなあ…」
涼太 母「は~い。サツキちゃんは紅茶で良かったかしら?」
サツキ「はい。ありがとうございます。」
涼太 母「もう涼太!もっと早く紹介してくれても良かったじゃない!」
涼太「ごめんごめん。忙しくてさ…」
涼太 父「サツキちゃんは麻生教授と知り合いだったよね?」
サツキ「あ…はい。」
涼太「今回援助してくれることになったのも、サツキのお陰なんだよ!」
涼太 母「そうなの?」
サツキ「いえ…お陰というほどでもないのですが…」
涼太 父「そういえばサツキちゃんの年を聞いてなかったな…」
サツキ「今19歳です。未菜ちゃんとは小学校と中学校が一緒だったんです。」
涼太 母「ええ?! そうなの? すごい繋がりね♪」
涼太 父「今は大学生かな?」
サツキ「あ、いえ。働いています。」
涼太 母「何のお仕事してるの?」
サツキ「医者です。涼太君と同じ職場です。」
涼太 父・母「ええ?!?!」
涼太 父「まだ19歳だよね?」
涼太「サツキは天才なの。アメリカで資格取ってきたの。」
涼太 母「すごいわね!美人の上に天才!! 絵に描いたような話ね♪」
サツキ「いえいえ。」
涼太 母「いつアメリカに行ったの?」
サツキ「ええと…高校に入ってすぐ、東京大学に入って、3ヶ月後ぐらいにアメリカの大学に行きました。 2年勉強して、日本に帰って来たという感じです。」
涼太 父「普通大学で6年かかるんだろ?すごいな!」
涼太「本当に。腕も最高だよ。縫合とかは指が踊ってるみたいだし…」
涼太 父「すごいを通り越して、怖くなってきちゃうな!(笑)」
涼太 母「サツキちゃんは一回聞けば全部覚えられちゃうとか?」
サツキ「そうですね…聞いたり見たりしたことは全部覚えてます。」
涼太 父「ほ~ 」
サツキ「あ…でも縫合とかはちゃんと練習します。」
涼太「そ。人一倍頑張り屋。」
サツキ「そんなことないよ?命を救うためだもん。」
涼太 母「たくましいわ! 涼太も負けないように頑張りなさいよ?」
涼太「ああ。頑張ってはいるけど…まあ無理だ…あんな縫合俺にはできない…」
涼太 母「まあグチグチ言ってる暇があったら練習しなさい!よね?サツキちゃん?」
サツキ「フフフ(笑)」
涼太 母「やっと笑った!緊張しててサツキちゃんガチガチだもの…」
サツキ「申し訳ありません…」
涼太 母「敬語じゃなくていいのよ?」
サツキ「は…はい!」
涼太 母「そういえばサツキちゃん?昔モデルやってた?」
サツキ「あ、はい。やってました。」
涼太 母「やっぱり!」
サツキ「何でご存知なんですか?」
涼太 母「私がサツキちゃんの載った雑誌を編集してたのよ!すごく可愛い子がいるな~ってずっと思ってたの! まさかこんなところで会うとは!」
サツキ「そうなんですか!」
涼太 母「やっぱりスタイルいいわね~♪ よく芸能関係の人に声掛けられるでしょ?」
サツキ「まあ…はい。」
涼太 父「よくこんな可愛い子が相手にしてくれたな! どうやって出会ったんだ?」
涼太「サツキがまだ○○大学病院にいたときなんだけど、サツキがドクターヘリで来てた救急現場に、俺が居合わせた訳。」
涼太 母「それでそれで?♪」
涼太「お袋!」
涼太 母「いいじゃない!私もドキドキしたいのよ♪」
涼太「サツキがうちの救命にバイトで来てたんだ。それでいろいろと…」
涼太 母「涼太が猛アタックしたんでしょ♪」
涼太「まあな…」
涼太 母「サツキちゃん可愛いから、いっぱい告白されたんじゃない?」
涼太「ああ。」
サツキ「そんなこと言っても…涼太もいつもナースに囲まれてますよ?」
涼太 母「あらそうなの?」
サツキ「はい!病院に入るなり涼太センセー!ですもん。」
涼太 母「あらあら♪(笑)」
涼太「おいおい!いろいろ聞き出すなよ!」
サツキ「いいじゃん?隠さなくたってお母さんなんだもん。」
涼太「そうだけど…」
涼太 父「ハハハ(笑)」
涼太 母「そういえばサツキちゃんご家族は?」
サツキ「…ええと…妹がいます。」
涼太 父「近いうちに挨拶にいこうと思ってるんだ。」
涼太「サツキ?俺が話していい?」
サツキ「…うん…」
涼太 父「ん?何だ?」
涼太「サツキには親がいないんだ。今度中学に上がる美華っていう妹がいるんだけど…ずっと一人で育ててきたんだ。」
涼太 父「そうなのか… ご病気だったの?」
涼太「…サツキ?」
サツキ「ごめん…大丈夫だから…」(震えている)
涼太「おいで?」
サツキ (抱きつく)
涼太「大丈夫だからな?」(ナデナデ)
涼太 母「どうしたの?」
涼太「サツキは…虐待されてたんだ…」
涼太 父「悪いこと聞いちゃったな…」
涼太 母「そうなの…」
涼太「7歳の時、麻生教授の娘さんの病院に運ばれたんだ。それで麻生教授と知り合いなんだ。」
涼太 父「そうか…」
涼太 母「親は?」
涼太「逮捕されたけど、時々現れてお金を奪っていくらしい。今はもうないけど…」
涼太 母「そっか…辛かったねサツキちゃん…」(ナデナデ)
サツキ「大丈夫です…ありがとうございます…」
涼太 母「妹さんがいるんだったわよね?」
涼太「ああ。でも虐待のことは知らない。サツキが普通の子として幸せになってほしいって一人で育ててきたんだ。」
涼太 父「そうか…」
サツキ「私…親ってどういうものなのか分からなくて…」
涼太 母「そんなこと気にしなくていいのよ?」
サツキ「でも…お母さんもお父さんもすごく優しくて… 今日…やっと分かりました。」
涼太 (ナデナデ)
サツキ「私…人はみんな都合が悪くなればすぐに離れてく…そんなんなら関わらない方がいいって…ずっと思ってたんです… だけど涼太は…私がどんなに突き放しても…私が辛いときにそばにいてくれました。一番そばにいてほしいときに…」
涼太 母「ずっと辛かったんだね…」(ナデナデ)
サツキ「すごく嬉しかった…最初はきっとこの人もみんなと一緒って思ってたけど…涼太は違った。」
涼太 母「そっか…意外と涼太やるわね♪ 」
涼太「まあな…」
涼太 父「ハハハ(笑)」
サツキ (笑)
涼太 母「サツキちゃんの笑顔…輝いてる♪」
涼太「だろ?いつもクールなんだけど、笑うとすごく可愛いんだ。」
涼太 父「ベタ惚れだな♪」
涼太「悪い?」
涼太 母「いいじゃない!あなただって私にベタ惚れだったんだから♪」
涼太「そうなの?(笑)」
サツキ (笑)
涼太 母「そうよ♪猛アタックだったのよ♪」
涼太 父「うるせーな…(赤)」
涼太 母「や~だあなた顔真っ赤♪」
涼太・サツキ (笑)
サツキ「素敵です。」
涼太 母「あなたたちもこうなるのよ♪」
サツキ「家族って…いいですね(ニコッ)」
涼太 母「ええ。サツキちゃんももうすぐ家族になるんだから、私のことはお母さんって呼んでね?あっ無理はしなくていいわよ?」
サツキ「はい!お母さん…とお父さん!」
涼太 母「フフフ(笑)サツキちゃん可愛い~♪」(抱きつく)
涼太「ちょっと!」
涼太 母「いいじゃない!お父さんがやったら問題だけど、女同士だし♪」
涼太「そういう問題じゃなくて…」
涼太 父「何、妬いてるのか?」
涼太「ち…ちげーよ!! (赤)」
サツキ「じゃあ何?」
涼太 母・父 (爆笑)
涼太 母「サツキちゃん… (笑) 最高…(笑)」
涼太「も…もう!!」
涼太 母「はいはい。涼太が嫉妬してるから、返してあげる♪」
涼太「俺の彼女だわ!」
涼太 父「もうサツキちゃん愛されてるね~」
サツキ「は…はい! (赤)」
涼太「サツキ顔真っ赤だぞ?」
サツキ「も…もう!」
涼太 母「幸せそうね♪ 涼太?大切にするのよ?」
涼太「ああ。いつも傷つけてばっかりだけどな…」
サツキ「そんなことない。涼太…いつも私のためにいろいろしてくれるし…」
涼太 父「頑張れよ?いろいろあると思うけど。」
涼太「ああ。」
涼太 母「さ!私はお昼作るわ♪ 」
サツキ「手伝います!お母さん!」
涼太 母「フフフ(笑) 」
涼太「言っとくけど、お袋の仕事無くなっちゃうからな?」
涼太 母「えっ?」
涼太「サツキの料理スッゲー美味しいし、おまけに作るの超速いの。」
サツキ「そんなことないって!」
涼太 母「楽しみだわ♪」
サツキ「もう!忘れてくださいお母さん!」
涼太 母「フフフ(笑)さ~どうでしょう?」