色々な恋愛覗いていきませんか?*短編詰め合わせ。
王子様になりたい男の子。
ずっとずっと
私だけの王子様が現れるのを待ってたの。
…なのに、
「またフラれたー!」
涙目になりながら高校にある中庭で叫べば、後ろから愉快そうにゲラゲラ笑う笑い声が聞こえてきた。
「ミヨリ、またフラれたんだって?」
そう言ってゲラゲラ笑いだした私の幼馴染の聖こと、ひーくん。
誰のせいでフラれたんだよ!と声を大にして言いたい。
「…またひーくんのせいでフラれた」
「毎回俺のせいにすんなよ」
だって本当のコトだし。
私の告白した相手は皆口を揃えて同じことを言うんだ。
『聖が怖くて付き合えない』って。
これって王子様以前の問題だよ…。
「私の王子様…」
「……俺じゃ不満だって言いたいの?」
ムッとしたひーくん。
そりゃ不満だよ。
だって、
「俺様で横暴でがさつで優しくないじゃん」
見た目だけはいいひーくん。
黒縁メガネかけてて、サラサラの茶髪で、優しそうな笑顔をいつも浮かべてるの。
なのに、
「私にだけ優しくない…」
そうつぶやいた私に、ひーくんは唇がくっつきそうなくらい顔を近づけてきた。
「俺に優しくしてほしいの?
だったら俺の特別になれ。
そしたら、俺はお前だけの王子様だ」
ひーくんはそれだけ言うと、私の返事を聞くよりも先にキスをした。
fin.