色々な恋愛覗いていきませんか?*短編詰め合わせ。
義弟。
「まゆ!」
廊下を歩いていると聞きなれた声で名前を呼ばれ、勢いよく腕が後ろに引かれた。
「あ、颯」
あたしの目の前で息を切らしているのは、義弟の颯。
お母さんの再婚相手の連れ子。
あたしが高校二年生で、颯がその一つ下、高校一年生。
「んで、先に帰ろうとしてんだよ」
「だって颯待ってると日が暮れちゃいそうなんだもの」
あたしの義弟の颯は、そのスタイルと整った顔で年齢関係なく女の子をメロメロにさせちゃうのだ。
だから放課後、颯は女の子たちの呼び出しで忙しい。
「俺だって好きで呼び出しに応じてるわけじゃねぇよ」
「じぁ断ればいいじゃん」
「…はぁ」
あたしの言葉にため息をついた颯は、片手でふわふわした自分の茶髪をガシガシかくと、真剣な目であたしを見つめた。
「まゆに妬いて欲しくてわざわざ告白されに行ってんだよ」
唇をタコみたいに突き出して不機嫌そうにつぶやいた颯にあたしは笑う。
「告白されにって上から目線なんだけど」
「だって俺が告白されたい相手はまゆだし」
そんな颯の言葉にあたしが嬉しくなったなんて死んでも言わない。
だって、あたしたちは“きょうだい”でしょ?
fin.