復讐する女はカメラの前で服を脱ぐ


「あ、もしかして、か、川口さん?」


ある日、私は短大の帰りに書店に入ると、暫くして声をかけられた。

振り向くと、パーカーにジーンズを穿いて肩から鞄を下げている、いかにも学生と言った風貌の男性が立っている。


「僕の事、覚えているかな?高校3年の時に同じクラスだった柳川です。」


(柳川…。)


柳川誠(やながわまこと)。

高校3年の時の同級生。


「覚えてるよ。柳川君だよね?」


「嬉しいなぁ。覚えてくれていたんだ。」


誠は素直に覚えてもらえてた事に笑顔を見せてから、少し首をかしげながら問いかけてきた。


「川口さん…、何だか変わったね。」


(高校時代の私を知る人から見れば、変わったよね…。)


「彼氏が出来てから、私も成長出来たみたい。」


「彼氏…、いるの?」


誠は高校3年生の時、告白してきた。

高校1年生の時から好きでした、と。

当時、男性への免疫が無かった私はごめんなさい、とただ一言告げた。

そうだよね、ごめんね。

と、明るく笑った誠の顔は今でも覚えている。


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