狂気前夜
53
   “お前の場合を話そう。お前は自ら汚す行為の最中、決して滋子の事を考えなかったと威張っている。ところが彼女の顔と声はいつもお前の頭を去らなかった。そんな事が可能かね?本当に!つまり、昼も夜も彼女の事で頭が一杯だったが、例の行為を行う時だけは彼女を頭の中から消す事に成功した、毎度成功した、とこうお前はわたくしに言っているわけだ。御尤もなお話ではありますよ!”
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