不機嫌な彼と彼女の憂鬱
1.すべてはそこからはじまった
それは偶然の出来事だった。
日頃の鬱憤や愚痴を何も知らない誰かに聞いてもらって、楽しい時間を過ごしたかった。
仕事も終わって帰宅した私は、夜一人になると無性に寂しくなる。そんな隙間を埋めるために「chat」を始めた。
見知らぬ誰かと、なんてことない話をして寂しさを紛らわす。そんなことを、気が向けば繰り返していた。
その日も同じだった。
寂しさを共有する相手を探して、たまたま目についた部屋へ入った。
ハンドルネームは「Key」キー。
男とも女とも取れる中性的なモノを選んだ。案の定、男なのか女なのか相手は区別できない。
「男?女?」いつも適当にかわす質問だったが、今日は素直に女であることを告げた。
相手は男性。歳は33と私より3つ年上のお兄さんだ。彼は「hiro」ヒロと名乗った。
住んでいるのは同じ関東で、比較的親近感が湧く。彼は山梨。私は埼玉。その距離は簡単に会える距離という訳ではないが、かといって会えないという距離でもない。
そんな妙にリアルな距離感から、二人が打ち解けるのに時間はかからなかった。
好きなドラマや好きな曲、彼との相性は思いの他、良かった。
他愛もない話に花を咲かせて、あっという間に楽しい時間が過ぎていった。
そして、その楽しさから二人は連絡先を交換することとなった。
彼から自分のスマホへメールが届く。
私もすかさず返信する。
偶然の出会いからはじまり、彼と連絡を取ることとなった。彼と連絡を取りはじめて解ったのは、彼は彼女持ちであったこと。
もしかしたらと期待していた気持ちも少なからずあったが、やっぱりなぁと妙に頷ける所もある。
「やっぱいい男は売約済みなんだょね。」
携帯を眺めながら、はぁ~と溜め息をついた。
彼の名前は、上崎紘人(かみさき ひろと)。コンピューター関係の仕事をしているという。
最初は色々興味をもったが、彼女がいると聞いてからはあえて聞くのを止めた。
深追いしても、所詮は他人様のもの。
元々不倫や浮気なんて好きではなかった。
2番目の女なんて、そんなのはまっぴら御免だった。
彼との連絡の頻度は、それ故少なかった。月に1度、もしくはそれ以上空くことは普通で、それでもちょうどいいくらいなのだと感じていた。
彼氏彼女になる見込みもないのに毎日連絡を取り合うなんて、相当気が合わない限り無理だろうと思う。
日頃の鬱憤や愚痴を何も知らない誰かに聞いてもらって、楽しい時間を過ごしたかった。
仕事も終わって帰宅した私は、夜一人になると無性に寂しくなる。そんな隙間を埋めるために「chat」を始めた。
見知らぬ誰かと、なんてことない話をして寂しさを紛らわす。そんなことを、気が向けば繰り返していた。
その日も同じだった。
寂しさを共有する相手を探して、たまたま目についた部屋へ入った。
ハンドルネームは「Key」キー。
男とも女とも取れる中性的なモノを選んだ。案の定、男なのか女なのか相手は区別できない。
「男?女?」いつも適当にかわす質問だったが、今日は素直に女であることを告げた。
相手は男性。歳は33と私より3つ年上のお兄さんだ。彼は「hiro」ヒロと名乗った。
住んでいるのは同じ関東で、比較的親近感が湧く。彼は山梨。私は埼玉。その距離は簡単に会える距離という訳ではないが、かといって会えないという距離でもない。
そんな妙にリアルな距離感から、二人が打ち解けるのに時間はかからなかった。
好きなドラマや好きな曲、彼との相性は思いの他、良かった。
他愛もない話に花を咲かせて、あっという間に楽しい時間が過ぎていった。
そして、その楽しさから二人は連絡先を交換することとなった。
彼から自分のスマホへメールが届く。
私もすかさず返信する。
偶然の出会いからはじまり、彼と連絡を取ることとなった。彼と連絡を取りはじめて解ったのは、彼は彼女持ちであったこと。
もしかしたらと期待していた気持ちも少なからずあったが、やっぱりなぁと妙に頷ける所もある。
「やっぱいい男は売約済みなんだょね。」
携帯を眺めながら、はぁ~と溜め息をついた。
彼の名前は、上崎紘人(かみさき ひろと)。コンピューター関係の仕事をしているという。
最初は色々興味をもったが、彼女がいると聞いてからはあえて聞くのを止めた。
深追いしても、所詮は他人様のもの。
元々不倫や浮気なんて好きではなかった。
2番目の女なんて、そんなのはまっぴら御免だった。
彼との連絡の頻度は、それ故少なかった。月に1度、もしくはそれ以上空くことは普通で、それでもちょうどいいくらいなのだと感じていた。
彼氏彼女になる見込みもないのに毎日連絡を取り合うなんて、相当気が合わない限り無理だろうと思う。