都合のわるい女
「……んーっ、おいしいっ! 最高っ!」


「だろだろ?」


「やばいやばい、黄身の破壊力ハンパないっ!!」


「だよなっ! 黄身の存在感には何者も勝てないもんな!」


「牛丼とかチャーシュー丼に温泉卵とかさぁ、もう、ずるいとしか言いようがないもん!」


「ハンバーグに半熟目玉焼きなんてのった日にゃあ……」


「攻撃力5割増しだもんねー!」



俺たちは黄身の素晴らしさを讃えながら夕食を終えた。




ーーー正直に告白しよう。


楽しい。


タカハシとメシを食うのは、文句なしに楽しい。



そうだ。


こんなに屈託なく笑いながら、相手になにも気づかうことなくメシが食えるのは、タカハシといるときだけなのだ。




だから俺は、タカハシからの「ごはん作って」という命令には逆らえないのだ。



つまり、タカハシから離れられないのだ。




< 27 / 80 >

この作品をシェア

pagetop