都合のわるい女
「付き合ってないんすよね?」


「そうだよ、ただの友達」


「ほー、なるほどねぇ」



先輩も後輩たちも、腑に落ちないという顔をしている。


でも、本当なんだから仕方がない。


これ以上いろいろ言われるのが面倒になって、俺は話を変えることにした。



「そーいやさ、バイト先の塾に、このサークルの出身っていう社員さんがいて……」



しばらくその話で盛り上がったあと、先輩が唐突に、



「塾講師のバイトしてるとさ、女子高生に告られたりしちゃうわけ?」



と、にやにやしながら訊いてきた。


俺は不意を突かれて、「えっ?」と動揺してしまう。



「あっ、いまの反応!
お前、告られたことあんだろ!
女子高生に!!」



先輩が人差し指を突きつけてきた。




< 31 / 80 >

この作品をシェア

pagetop