都合のわるい女
*
「あっ、ニッシー発見!
いいとこに来た!」
「だっ!?」
次の講義が行われる一号館に向かって歩いていた俺は、
突如、背後から飛び蹴りを食らわされて、思いきり地面にダイブした。
「………いって〜……」
「あっはは!
ニッシー、あいかわらず鈍いっ!」
仁王立ちで俺を見下ろしながら、晴れやかな笑顔を浮かべているのは、
「………タカハシ!
いきなり何すんだよっ!」
都合の悪い女、タカハシだ。
俺たちは学部こそ違うものの、同じキャンパスに通っていることもあり、一日に一度はどこかしらで顔を合わせる。
そして、そのたびに俺は、肘鉄もしくは飛び蹴り、あるいは頭突きを食らわされるのだ。