都合のわるい女
…………へ?



はじめて………?



はじめて、って、つまり………?




「ファーストキスが寝込み襲われたのとか、最低じゃん!」



俺の疑問に答えるように、タカハシが真っ赤な顔で叫んだ。



やっとのことで意味を理解し、俺は思わず口許を両手で抑えた。


そうしないと、絶対に、にやけてしまうと思ったから。



「………なによ、馬鹿にしてんの!?」



タカハシがふくれっ面で睨みつけてくるので、俺は口を抑えたまま、ぶんぶんと首を振った。



「馬鹿になんかしてないって!

ただ、ただ………」



ーーー嬉しくて。


その一言が、どうしても素直には言えず、俺は、



「………意外、だったから………」



と、囁くように答えた。




< 52 / 80 >

この作品をシェア

pagetop