都合のわるい女
「………あいつは。

タカハシは、そんな言い方されなきゃなんねえほど、悪いやつじゃねえよ」



俺ってこんなに低い声出るんだ、

と自分でもびっくりするような声が、口から飛び出した。


吉岡が目を丸くして俺を見る。


俺は、今度はちゃんと顔を上げて、吉岡の目を見つめながら言い返した。



「タカハシは、たしかにワガママだけどな………。

俺のこと、利用できるだけ利用しようだなんて思ってねえし、

そりゃ、ヤらせてくれねえどころか、キスもさせてくれねえけど。

でも………いいやつなんだよ」



俺の言葉を、吉岡は瞬きもせずにじっと聞いていた。


そして………にやり、と笑った。



「………それが、お前の本心だろ?」




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