都合のわるい女
「実はさ、明日締め切りのレポートがまだ終わってないんだよね」




俺と並んで歩き出したタカハシは、困ったように眉を下げて言った。



この後の展開、俺に読めないわけがない。




「………で、レポート手伝えってか」




俺が呟いた瞬間、さっきまでの殊勝な表情はどこへやら、タカハシはにっこりと笑った。




「わお! さっすがニッシー!
よく分かったね」


「分からいでか!
この展開、何度目だよ!」


「さあ?」


「13回目だよ!」


「うわっ、細か!
神経質な男って、サイテー」




なんという酷い言われよう。


恩を仇で返す、とはこのことだ。


いつもいつもレポート提出の前日には必ず俺に泣きついてきて、俺は律儀に手伝ってやってるってのに!




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