都合のわるい女
………なんて怒り心頭に発しつつも、


結局、頼まれたら断れない、いや、頼られたらいい気になってしまうのが、俺という男の哀しい性なのだ。


そして、翌日。



「………うぅ、眠い………」



眠気と格闘しつづけた3限の講義が終わった瞬間、俺は机に突っ伏した。



それを見て、隣に座っていた吉岡が、


「またタカハシさんか?」


と訊いてきた。


俺は突っ伏したまま、こくこくと頷く。


吉岡が呆れたように肩を竦めたのが、気配で分かった。



「今度は何させられたわけ?」


「………レポートの手伝い」


「は? 学部ちがうんだよな?
手伝いなんかできんの?」


「あいつ、パソコン苦手だからさ。
言われた通りに俺が打ち込んでくわけ」


「なるほどなぁ」


「おかげで、マックで完徹だよ………」



あいつときたら、締切前日だというのに、まだ一文字も打っていなかったのだ。

まったく、困ったやつだ。

計画性のカケラもない。


俺はタカハシに付き合って一睡もせず、マックで電気泥棒をしながら、肩がバキバキになるまでノートパソコンのキーボードを叩き続けたのだ。




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