恋する淑女は、会議室で夢を見る
「お嬢さま
お嬢さまは、肌もキレイだし
もともと可愛いんですから
ちゃんとお化粧すれば、雑誌のモデルのように素敵になれますよ!」
後ろから、ユキが覗きこむように顔を出してニッコリと微笑んだ。
「私が可愛いわけないじゃん
ユキのほうがよっぽど美人だって」
そんなことはない、お嬢さまは本当に可愛いと言うユキを無視して
慰めなくていいのと、ブツブツ文句を言いながら立ち上がり
真優はドレッサーを開けて服を見渡した。
壁一面のドレッサーには、袖を通していない服が沢山並んでいる。
「お嬢さま やっぱりスカートももっと揃えましょう」
隣で一緒に覗くユキがそんなことを言うが、必要ない。
「いいの スカートはどうせ履かないから」
スカートは自転車に乗らない雨の日に履けば充分だ。
「奥様や旦那様が買ってくださった可愛いブラウス
こんなに沢山あるのに 全然着ないんですもの
もったいない」
―― なるほど…
ブラウスか…
シャツから可愛いブラウスにしただけでも、ちょっと違うかも?