恋する淑女は、会議室で夢を見る
俯きながら
「…おはようございます」
そっと挨拶をして席に座ると

「おはよう」
向かいの席の氷室先輩が、真優をみて
 少しだけクスッと笑った。



―― もう我慢できないっ!


「氷室先輩!
 今笑ったでしょ
 やっぱり 変ですか?
 正直に言ってください やっぱり変ですよね?!」

パソコンの陰から顔を出し、
真優は氷室先輩の表情を食い入るように見つめると、

氷室先輩は
「いや 変じゃない」
と、真優に微笑んだ。



「可愛いよ」


 … ぇ



たとえお世辞とわかっていても
 いつもクールな氷室先輩に微笑まれて 可愛いと言われては 
うれしくないはずもない。

心の中をくすぐられたように 笑みが零れてきた。


「ありがとうございます…」

パソコンの陰に隠れた真優は
 赤くなる頬を落ち着かせるように、キュッと唇を噛んだ。
< 14 / 210 >

この作品をシェア

pagetop