恋する淑女は、会議室で夢を見る
*...*...*...*...*




それから数日後の午前中、


――なんだろう?


取引先との打ち合わせにでかける為 
真優と仁がエレベーターで一階に下りた時だった。


広いエントランスロビーの左のほうに、人だかりができていて、
女子社員も男性社員も、嬉々としてその集団をチラチラ見ていた。


よく見ると、人だかりは重役やらSPたちで
その中心には例の御曹司、桐谷遥人がいた。

そして桐谷遥人は、恐ろしく可愛い女の子と楽しそうに何か話をしている。


 ―― モデル? 芸能人?


「氷室先輩 あの美人 一体誰なんでしょう?」

「桐谷さんの妹だよ」


  ええっーー!?


なんて可愛い!


優しい顔立ち 
笑っていなくても微笑んでいるような目元。

ついつい見惚れてしまって
ふと、桐谷遥人と目が合ってしまった。


  ・・うっ


軽く会釈をして、真優は慌てて氷室先輩の後を追う。


「・・・」


あんなに恐ろしいほど可愛い妹を毎日見ているということは
彼女が桐谷遥人の標準女子・・・


―― ありえない・・・
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