恋する淑女は、会議室で夢を見る
―― 徒花…
そんなことを思い浮かべながら
パフェをつつく真優と親友の絵理はカフェにいた。
カフェの二階の席からは、明るい陽射しが降り注ぐ通りが見下ろせる。
楽しげに行き交う人々を見たり、絵理に話を聞いてもらっているうちに、真優の重たい気持ちも軽くなってきた。
「で、真優
マー先輩のことお父さまには話てみたの?」
「ん?」
マー先輩からもSNSにメッセージが入っていた。
電話がほしいというメッセージだったので掛けてみると
マー先輩は真優の父親に会って、交際したいという話をしたいのだと言う。
「うん
パパもね、会ってみたいってことになって
今度の土曜日にマー先輩が家に来ることになった」
「うわーー
ガンガン行くねー!マー先輩」
あはは、と楽しそうに笑った絵理だったが、
笑い事ではない真優をおもんばかって
「でも良かったじゃないの真優
お父さまとお母さまの意見も聞けるしね」
と、励ますように微笑んだ。
「1人で悩むよりずっといいよ」
「うん…」
気が進まなかったが、ユキにも同じようなことを言われて
思い切って母に相談してみると、母も父も喜んだ。
『ほぉ~ それは楽しみだ』
いずれにしても、もうこれ以上は先延ばしにはできない。