恋する淑女は、会議室で夢を見る

ラフな私服姿の専務を見たのは初めてだ。

いつもよりもサラサラな髪も
太陽の下で見る、明るい笑顔も


――専務じゃない…

その姿は、
真優が知らない 桐谷遥人の本当の姿のような気がした。


「真優?」

「! あぁごめん
 会社で見るのと随分違うから、ちょっとビックリしちゃって」

「あー、そうだよね
 男の人ってスーツと私服で随分違うもの」

うんうん、と答えながら
真優は胸の奥が締め付けられるように苦しかった。



「…」


「―― 真優?

  もしかして…」


「あ…ごめんごめん
 アハハ
 やだなー どうしたんだろ
 ビックリし過ぎだよね」


咄嗟に取り繕う余裕もなく、
ドキドキと疼くショックは誤魔化しようもないもので、
真優は愕然とする想いだった。



…まさか私、専務のことが好きなの?
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