恋する淑女は、会議室で夢を見る
*...*...*...*...*




金曜日の仕事帰り
 真優は、学生の頃からの親友の絵理(エリ)と会った。


「うわー どうしたの真優!!
 可愛い~!」

待ち合わせのレストランで真優を見るなり、
絵理は遠慮なしに驚嘆の声を上げた。


「そんなにビックリしないでよ…」

真優はムッとして口を尖らせる。



「だって 真優… その変わりよう
 それで同窓会とか行ったら 絶対誰だかわからないって言われちゃうわよ
 それくらい別人だって!」


「――まあ 確かに
 いつもボサボサ頭で笑われていたもんね」


クスッ

「そうだよ」

 クスクス




・・・


 

「…って感じでね
 全然態度が違うんだよ?
 そういうのって どうなの?」


並んだ料理をつつきながら、真優がブツブツと愚痴をこぼす。

化粧をするようになって以来、真優は飲み会、合コン、何かと誘われるようになった。
今日も帰りがけに飲みに行こうと誘われたのを断って、ここに来たのだ。

中身は全然変わっていないのに
 ちょっと化粧をして少しばかり華やかな服装にしただけで この変わりようはどうだろう?と
真優には不信感が募る一方だ。


友達の絵理はクスクスと笑う。

「そりゃ当然よ~
 女だってイケメンに弱いでしょ? 同じだって
 男ばっかり責めちゃダーメ」

「まぁね そりゃそうだけど…
 化粧してもしなくても 私は私なのになぁ」


「で、どうなの
 化粧するように注意してきた御曹司の桐谷さんには
 その後 何か言われた?」
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