恋する淑女は、会議室で夢を見る
「どうしました?」
怪訝そうに眉を顰める鈴木翼に
「とんだ茶番だ」
遥人は、これこれこういう訳でと説明した。
電話の相手は、遥人が真優につけたSPで、
その内容はつい今し方、白木匡と真優とマリアの間に起きた事の顛末だ。
「ったく詰めの甘い男だ
所詮、俺の敵じゃなかったな」
と言いながら、遥人は満足そうに一気にシャンパンを空けた。
「Mは真優のMじゃなくて
マリアのMだったみたいだぞ」
「ほぉー そうでしたか」
その辺の真相は白木匡にしかわからないだろうが
おそらくは、真優のMでもありマリアのMでもあったのだろうと思いながら、
鈴木翼は少しだけ白木匡に同情した。
「いつから秘書さんにSPを付けているんですか?」
「ん?
つい最近」
とぼける遥人を見て鈴木翼はクスッと笑う。
「こう言ってはなんですが
もはやストーカーですね」
「知らないからそういうことを言うんだよ
資産家の娘のくせにグデングデンに酔っぱらうんだよ?
朝だって社内の男共に待ち伏せされてから偶然を装って声をかけられてるのに、
全然気づいてないみたいだし、危機感ゼロなんだ
危なくて放っておけないだろう?」
クスクス
「で? これからどうするんですか?」
「俺は面倒くさい事はキライだからね
さっさとケリをつけるよ」
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