恋する淑女は、会議室で夢を見る
SS 月に嫉妬する
「どうぞごゆっくり」
トスッ
小さな音を立てて、襖を閉めた仲居が消えると、
ほんのり頬を染めた真優は、
「そういえば
帰る時にロビーで氷室先輩に会ったんですけど
おめでとうって…」
恥ずかしそうに視線を落とし、
一旦片付けられた膳に置かれた葛切りに、そっと箸を伸ばした。
「そう…」
―― 仁のやつ…