恋する淑女は、会議室で夢を見る
・・・
真優が湯船に入った音を聞き分けてから、
俺は、部屋付きの露天風呂の扉を開けた。
フワッと、檜の爽やかな香りに包まれて湯船に進むと、
純情な真優を慮って、
腰にタオルを巻いて入ったというのに、
目を丸くして驚いた真優は、
茹でダコのように益々赤くなって、湯船の中で膝を抱えて小さくなった。
クスッ
――かわいいな
チャプ…
「…入って来ないでって
言った のに…」
後ろに回って、軽く抱きしめると
軽くアップにした髪から滴る雫が、真優の細いうなじを伝って
湯の中に落ちていった…。
「ねぇ真優
見ないから、こっち向いて」
「…」
なかなか顔をあげない真優のために
腰にまわしていたタオルを外し、真優の前に浮かせてあげると、
タオルを掴んで胸元にあてた真優は、
ようやく顔をあげて、恨めしそうに俺を睨んだ。