恋する淑女は、会議室で夢を見る
*...*...*...*...*




「真優?

 お前… 熱があるんじゃないのか?
 顔が赤いぞ」

「え!?」


「今日は朝からずっと様子が変だけど
 具合が悪いんじゃないのか?
 風邪?」


慌てたように両手で顔を覆う真優を
心配そうに、氷室先輩が覗きこんだ。





「・・・」



―― 確かに
 熱があるのかもしれません 先輩…

   風邪じゃなくて


 ショック熱が…






「… 真優?」





―― さっき…

    私…





倒れそうになった真優を支えようとした桐谷遥人の手が 
すっぽりと真優の右胸を掴んでいた。



もちろんそれは偶然のことだったが
我に返った真優が悲鳴をあげて

  ” キャアアア”


今度はその悲鳴に驚いた桐谷遥人がビックリして手を離した。



その拍子に真優がまた倒れそうになって


 ”おっとっと”



なんだかんだと、すったもんだするうちに

何がどうなったのか


とにかく倒れまいとして、真優が手を伸ばし
 必死にしがみついた その瞬間…






―― 私のこの唇が、

    桐谷遥人の唇と重なった


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