恋愛学園
何のこと?



「ごめん、あゆ…ちょっとイライラしてて…傷つかない恋はないとか…ただ自分に言いたかっただけなの…」



急に凛が静かになったから、戸惑うあたし。


凛、急にどうしたの?


何かあったの?



「あたし、亮が女と腕組んで歩いてるとこ見ちゃったの」



そう言った凛は、少しだけ悲しそうな顔をしていた。



「亮なんてどうでもよかったのにな。」



凛は下を向いて静かに呟いた。



「そのときね、初めて亮のことで涙が出たの」



それって…亮って人のこと…



「ごめんね…あたし矛盾してるよね。

この前は別れたいとか言ったくせに…」



あたしは何も言わずに凛の手を握った。


凛も何も言わずに握り返してきた。



「亮のこと、好きだったんだと思う。

気付くのが遅すぎたんだよ…」



そう言った凛の頬には、一粒の涙が伝っていた。

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