俺の彼女の電波ちゃん。

「どうしたんだい?僕に話を聞かせてごらん?」



イケメン風なセリフをはいたのはもちろん俺ではない。


郷愛だ。


頬に手を添えて涙を親指で拭う、までしてる。


俺にもそんなイケメン要素分けてくれよ。




女の子はグスグスと泣きながら、木の上を指さした。


「風船が、飛んでいっちゃったの。」



指さされた方を見上げると、確かに木の上の方に赤い風船が引っかかっていた。


なんてベタな様子なんだ……こんな事ってほんとにあるんだな。

あれは取れなそうだなぁ……。




と、そんなことを思っていると、

郷愛がイケメン風爽やかスマイルを固めたままこちらにつかつかと寄ってきた。


「な、なんだよ。」



「聞きまして奥さん?なんて言うベタな展開なの?」



「奥さんじゃないし、その顔で言われても困るわぁ郷愛さん。あたくしもベタだと思いましたけどね……。」


俺が変な裏声で答えると、郷愛は眉間にシワをよせた。失礼だ。


そして、うーんと顎に手を当てて悩み始めた。


動きがまずキャラっぽいんだよなぁ、こいつ。
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