俺の彼女の電波ちゃん。
それからも、また郷愛はそっけなかった。

と言うよりは、見かけることすらなかったと言ってもいい。





俺らって、ほんとに付き合ってるんだよな……?



そんなことが頭をよぎったある放課後。


なんとなく、校内はばたついていたけど、俺には関係ないことだろう。


何の連絡も入らないスマホを見て、溜め息をつく。


下駄箱に上履きをしまおうとした瞬間、ピンポンパンポーンと放送が鳴った。


こんな時間に珍しいな。



放送はなかなか始まらず、ガサ、ゴソ、と言う音がしている。

間違いか?と思っていると、

小さい声で

「え?これもう流れてるの?」

と聞き覚えのある声がマイクに拾われた。


さ、郷愛?!


何やってんだアイツ……



「えー!1年A組のたかはーし!!あきら!!!!至急体育館に来られたし!!!」


キーンという音とともに郷愛の大声が校内に響きわたる。


マイクちけぇし音でけえよ!

それに高橋伸ばしていうからこの前のタカハーシ思い出すじゃねえか!


「繰り返す!高橋章!!!さっさと体育館来いよ!以上!ピンポンパンポーン!」


ピンポンパンポンも口で言うと郷愛は放送を終えた。


これ、郷愛のみならず俺も怒られるのかな……やだな……。



俺は微妙な気持ちになりながらも、しまいかけた上履きを床に落として履き直した。


郷愛、一体なんの用なんだよ……。



あの調子だと、別れようとかではないだろうけど、全く検討がつかなくて困惑した気持ちで俺は体育館に向かった。

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