俺の彼女の電波ちゃん。
「ね、それよりスーパーステージを見てよ!!!」
郷愛はぱっと身を翻して体育館のステージをさした。
これも照れ隠しの一部だろう。
スーパーステージと呼ばれたただの体育館のステージを見ると、そこには座布団とマイクが置いてあった。
テンツクテンと囃子にのって、和服姿の落研の先輩が現れた。
落研まで巻き込んだのか。すごいな。
良く見れば、ステージの隅に、演目を書いた長い紙、そして黒子姿の人が居た。
こんな絵に書いたような様子は初めて見た。誰なんだ黒子は。よくやってくれるな。
先輩の落語が終わると、ジャズ研、ダンス部、チア部、吹奏楽部、演劇部と、発表できるものを持ってる部は全部出てきたんじゃないかと思うくらい、このなんの変哲もない体育館のステージはスーパーになっていた。
文化祭みたいじゃないか。それを一人で実行する郷愛……おそるべし。
「さて、そろそろ行こうかな……。」
隣にいた陽翔が不敵な笑みを浮かべてステージの方へ歩いていった。
キャー!と黄色い悲鳴が上がる。
「え…まさか、陽翔やるの?」
「モチのロンだぜベイベー!大トリ!」
郷愛はVサインをだした。
「なんだかほんとにスーパーだな……」
「言っただろ!スーパーステージだって!」
郷愛ニコッと笑った。
陽翔は、ギターではなくグランドピアノの前に座って、その長い指をなめらかに鍵盤の上へとすべらせた。
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