笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
ガードの拓海を起点に、多彩な攻撃を見せてくれた。
センターを使い、ポストプレイから中に切り込んだり、フォワードが外からゴールを狙ったり、自らドライブでゴールに向かったり…
外から、中から
また、右から、左から、
選抜チームのメンバーが縦横無尽にコートを走り回り、相手のディフェンスは翻弄されている。
4点の差は、2分を過ぎて追いつき、試合終了時には51対46で選抜チームが勝利した。

「陽泉。
今のが拓海くん本来のプレイよ。
2Qは、かなり遠慮してたみたいね」
愛美先輩は笑顔で、
「ホント、陽泉にそっくりよね」
と、つけ加えた。

前座が終わり、それから1時間20分後にプロの試合が始まる。
私たちはその間にお昼ご飯を食べることにした。

それぞれお弁当を広げると、田村さんと選抜のメンバーが席に来た。

「お疲れ様でした」と、声をかける愛美先輩。
それから田村さんのお昼を出したり、ドリンクを出したり…の、かいがいしい様子は新妻そのもの。
そんな二人を邪魔するように、
「田村さん、こんにちは。ご無沙汰してます!」
と声をかけたのは郁海。

それに対して田村さんは
「なんだ、郁海か。
あー、陽泉もいるのか。
久しぶりだな」
何でもないように返事をしてくれた。
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