笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「郁海、いいから」
私は、かばってくれた弟を止めた。
郁海も、それは分かっていたはずだ。
私にとって気まずい空気を変えるためだけに、祐介にあんなことを言ったのだから。
「姉ちゃん…」
「…ヒナ」
郁海と祐介が私を見る。
「祐介ごめん。
今日は疲れたから、郁海と一緒にまっすぐ帰るよ。
だから、祐介はみんなと一緒にいていいよ」
私は笑顔を作って祐介に言う。
祐介は一瞬怒ったような表情をしたが、すぐに笑顔になり、
「…分かった。
気をつけて帰れよ。
後で連絡するから」
「うん。
…郁海、佐々木くん、ごめんね。
行こう」
私は2人に声をかけて歩き出した。
そして、祐介の方は1度も振り返らずにホテルを出た。
…今、祐介をみたら、気持ちを読まれてしまいそうで怖かった。
…ううん。
祐介と私の、どうしても埋めることの出来ない距離から、目を逸らしたかった。
そして、そんなことばかり考えていた私は気付くはずがなかった。
田村さんと愛美先輩が、私と祐介のやり取りを見ていたことを…
私と郁海の後ろを歩く佐々木くんが、切ない表情で私を見ていたことを…
その日の夜、祐介から連絡がきて、今度の金曜日の夜に、2人で会うことになった。
私は、かばってくれた弟を止めた。
郁海も、それは分かっていたはずだ。
私にとって気まずい空気を変えるためだけに、祐介にあんなことを言ったのだから。
「姉ちゃん…」
「…ヒナ」
郁海と祐介が私を見る。
「祐介ごめん。
今日は疲れたから、郁海と一緒にまっすぐ帰るよ。
だから、祐介はみんなと一緒にいていいよ」
私は笑顔を作って祐介に言う。
祐介は一瞬怒ったような表情をしたが、すぐに笑顔になり、
「…分かった。
気をつけて帰れよ。
後で連絡するから」
「うん。
…郁海、佐々木くん、ごめんね。
行こう」
私は2人に声をかけて歩き出した。
そして、祐介の方は1度も振り返らずにホテルを出た。
…今、祐介をみたら、気持ちを読まれてしまいそうで怖かった。
…ううん。
祐介と私の、どうしても埋めることの出来ない距離から、目を逸らしたかった。
そして、そんなことばかり考えていた私は気付くはずがなかった。
田村さんと愛美先輩が、私と祐介のやり取りを見ていたことを…
私と郁海の後ろを歩く佐々木くんが、切ない表情で私を見ていたことを…
その日の夜、祐介から連絡がきて、今度の金曜日の夜に、2人で会うことになった。