笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
陽泉には、県の内外から多くの推薦があったらしい。
それでも彼女は、それらを全て断り、普通に入試を受けて、私が通う県立三河南高校に入学してきた。
入学式後すぐに、体育館に来て私に、「女子バスケ部に入部したいです」と言ってきた。
そして早速、その日から練習に参加した。

その年、新入生は8人入部した。
3年生が7人、2年生が8人で、今まではちょうど15名全員がユニホームをもらえた。
しかし、新入部員が入ったことで、ユニホームをもらえない2年生も出てくる。
陽泉は入部してすぐの練習試合からスタメンで、それだけの実力もある。
みんな、それは分かっているが、ユニホームをもらえない子したら邪魔な存在なのだろう。
陽泉にばかり雑用を押し付けると言う、幼稚なイジメをしていた。
それを見た他の1年生は、「陽泉ちゃんはやらなくていいよ。私たちがやるから」
と、わざとその2年生の前で陽泉を庇う。
そして、そんな1年生と2年生の対立が表面化したのは、地区大会目前の6月だ。

2年生にも1人スタメンに入っている子がいて、彼女が次のキャプテンになる。
私は彼女にお願いして、この対立を鎮めてもらう。
陽泉に嫌がらせをしていた2年生2人は、すぐに退部届を提出した。



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