笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
一息ついたところで、佐々木くんに尋ねた。

「ねぇ。
なんで今日、誘ってくれたの?」
「…なんでって?…」
「約束なんて、してなかったよね?」
「…あぁ、そういうことか。
陽泉が山崎さんに誘われて困っていたから」
「…………?」
「…郁海に言われたんだよ。姉ちゃんモテるけど、声をかけられると断るのが苦手だから、会社でなにかあったら助けてあげて…って」
「………そうなんだ」
「…だから助けた」
「………ありがとう」
「あぁ。
だからさ。これから俺のこと、断る口実に使っていいからな」
「………そんなの、悪いよ」
「大丈夫だよ。俺が良いって言ってんだから」
「……でも」
「そしたらさ。
断ったとき、こうして俺と飯を食べに行こう!
それなら相手に嘘をつくわけじゃないから、大丈夫だろう?」
「そんな!
佐々木くんだって、予定があるでしょう?」
「そんなの平気!
俺、あまり人と約束なんてしないし、もしあったとしても陽泉とのことを優先させるから」
「……………」
「ごめん、言い方悪いよな。
郁海くんの話を聞いて、俺が陽泉のそばにいて、陽泉を守ってやりたいと思ったんだ。
だから、いくらでも口実に使ってくれていいし、いつでも付き合うから」
「……………」
「……………」



< 115 / 250 >

この作品をシェア

pagetop