笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「分かった、ありがとう」
私は渋々頷いた。
こうしないと、佐々木くんは引かないだろう。
それに、今日はすごく助かったのは事実だから。

「じゃあ、行くか」
そう言って席を立つ彼。私も後に続く。
その場の会計は払ってもらい、店の外に出てから自分の分を彼に渡した。
断られるかと思ったが、すんなり受け取ってくれた。

「じゃあ、少し歩くか。
陽泉は時間は大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「遅くならないように送るから。
じゃ、行こう」
そう言うと、また私の手を引いて歩き出した。

駅前のアーケードは、大きな七夕飾りが10mごとに5つ置いてあり、6月中は自由に飾りを付けたり、願いを書いた短冊を付けたり出来る。
6月下旬のこの時期は、飾りつけをしようとする人でいっぱいだ。
私たちは、5つあるうちの真ん中の飾りを見ることにした。色とりどりの折り紙で作った飾りが綺麗だ。
短冊も
『お姫様になりたい』や『サッカー選手になりたい』と言うかわいいものから、『彼氏がほしい』や『就職できますように』·『もっと給料あげて』と現実的なものまで、いろいろある。



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