笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
そう頷いた私に、
「なんだ。
誰かと思えば、陽泉と郁海か」
原田さんが声をかけた。

「こんにちは原田さん」
私が原田さんに挨拶をすると、
「原田さん、久しぶりです。俺もいますよ」
と、郁海も原田さんに挨拶をした。

その時、不思議そうにこちらを見ていた佐々木さんと目が合った。
私は軽く頭を下げた。
すると、佐々木さんも頭を下げてくれた。
そんな私たちを見ていた愛美先輩が、
「あぁ。陽泉たちと稜くんははじめてだよね」
と、紹介してくれた。

「拓海の姉の陽泉と、兄の郁海。二人とも、稜くんと同じ小学校だけど、学年も離れるし、稜くんも覚えてないよね?」

そう言う愛美先輩に、
「小野陽泉?
直接は知らないけど、名前は分かりますよ。
ミニバスで、…いや、中学·高校でも、全国に行ったんですよね?
"鬼のガード"と言われているプレイヤー」
私の顔を見ながら言う。

…ヤダな。
私のことを直接知らなくても、この年代のバスケットに携わった人からすれば、
『"小野陽泉"="鬼のガード"』
の図式が出来るんだ。
そう思い、田村さんをちょっと睨んだ。

そんな私を気にせず、佐々木さんは続けた。

「…それに、陽泉ってかわいい名前だから、印象に残ってる」

その一言は、私の心に爆弾を落とした。



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