笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「その日は佐々木くんと、ご飯を食べて、駅前の七夕飾りを見て帰ってきたよ」
「……………」
「……………」
「…佐々木さんと2人で会うの、その前もあったの?」
「2人で?それはないよ。同じ会社の同期だから、会社の飲み会や同期会でみんなで会うことはあったけど」
「そう…」
「それに、ミニバスでも同じチームのOBだから、一緒になることもある」
「そう…」
「うん。
今は、それだけだよ」
「今は…?」
怪訝そうな、ちょっと不機嫌な祐介の問い。
ちょっと怖いけど、ちゃんと伝えなきゃならない。
私は意を決して姿勢を正し、祐介と向き合った。

「祐介がちゃんと気持ちを伝えてくれたから、私もちゃんと言うね」
「………あぁ」
「私も自分の気持ち、ちゃんと分かってない部分もあるんだ。
だけどね。祐介のことは好きだと思う。
でも、それと同じくらいか、もしくはそれ以上に気になる人がいる」
「……………」
「…その人と付き合いたいとか、そんなことは考えたことはない。けど、そばにいたいとは思う」
「……………」
「…ごめん。
自分でも何言っているのか分からないや」
「……………」
「……………」
「……なぁヒナ。
その人って、佐々木さんだよな?」
「…うん」
「そっか。なら良かった」
「………?」



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