笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  二度目の再会

プロの試合を見てから、そして、私が覚えていなかった佐々木稜と再会してから4日後の4月1日の水曜日。
四つ葉スポーツの入社式に出るため、私は前日から本社のある東京に来ていた。
会社でホテルを予約してくれて、地方からの人は全員、そこに泊まった。
1日の午前中は入社式、その日の午後から3日までは研修となっている。

"四つ葉スポーツ"は、全国にチェーン店のあるスポーツ用品店。
本社は東京に、支社は全国に12、工場は3、店舗は150以上ある、大手のスポーツメーカーだ。
今年の新入社員は、全部で120人。
それが本社の第一会議室に一同に集まる。
もちろん、社長や取締役·支社長クラスの人たちも。

用意されたホテルの部屋はツイン。
私は同じ支社になる青山紗英(アオヤマ サエ)ちゃんと同室になった。
朝、一緒に朝食を食べて、入社式に参加する準備をしている。

「陽泉。
先に洗面台借りて、メイクと髪のセットさせてもらうよ」
「うん、了解!
私は先にスーツに着替えちゃうね」

私はそう言って、クローゼットから今日のために用意した、黒のパンツスーツを出して着替えはじめた。

"南東北支社"に配属される女子は、私と紗英ちゃんだけ。
だから『仲良くやっていこう』と、お互いに下の名前で呼び合うことにした。

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