笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
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「そうだったんだ…。
その女子たち、陽泉の外見だけしか見てないんだね。こんなに素直な優しい人なのに…」
ここまでの話を聞いて、そう言ってくれる紗英ちゃん。
そんな紗英ちゃんに、私は大切なことを伝える。
「ありがとう、紗英ちゃん。
でも最近、愛美先輩と同じくらい信頼できる女性(ヒト)に出会えたんだ。
それは紗英ちゃんだよ」
「……陽泉?」
「この会社で、紗英ちゃんに会えてよかったよ」
「…ありがと、陽泉。
私も、陽泉に会えて良かったよ。
…で、金曜日は何があったの?」
そう聞かれて、またゆっくりと話し出した。
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「あのとき、隣に個室のグループ、私がトラウマになっている言葉を言っていたんだ」
その時を思い出しながら話す。
耳に残っている言葉たち。
『自分は"綺麗"だと思っているから、外見がそれなりな男性を、たくさんキープしてるんですよ』
『最悪な女じゃない?』
『中身はスカスカなんですよ』
『バスケが上手くて、ちょっと綺麗な、中身がスカスカな人』
「…どうして面識のない人たちに、こんな悪口を言われなきゃならないんだろうって。
それとトラウマの言葉たちで、気付けば祐介の部屋だった」
「そっか…。
陽泉、辛かったね…」
紗英ちゃんはそう言って抱きしめてくれた。