笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
佐々木くんと2人で会うことになったと伝えると、案の定、祐介はいい顔をしなかった。
それでも、
「迎えに行くから連絡して」と言ってくれた。

その日は、30分ほど残業をしてオフィスを出た。佐々木くんはまだ残っていた。
約束の時間まではまだあるため、1度家に帰り、軽くシャンプーを浴びて出かけた。
急いで約束の場所に向かうと、佐々木くんは車で待っていてくれた。

「…遅くなってごめんなさい」
「ん、大丈夫。助手席に乗って」
そう言って、助手席のドアを開けてくれる。
「コンビニで夕飯を買って、俺の部屋に行こう。俺も陽泉に聞きたいことがあるし、ゆっくり話しが出来るだろう」
彼がそう言って、車が走り出した。
近くのコンビニで、それぞれにお弁当や飲み物を買って、佐々木くんの部屋に着くまで、お互い、何も話さなかった。

「お邪魔します」
靴を揃えてリビングに上がらせてもらう。
「先に飯を食べよう」
佐々木くんの言葉に、買ってきたものをテーブルの上に出した。
私はパスタサラダとくるみパン·ヨーグルトにアップルジュース。
佐々木くんは冷し中華に唐揚げ·おにぎり2つとお茶。
おしぼりで手を拭いて、
「いただきます」
と言って食べはじめる。


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