笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
おにぎりの袋を開いて1口食べた彼が、
「…前に陽泉がたくさんのおにぎりを作ってくれた時があったよね?
…あのおにぎり、美味しかったな…」
そう呟いた。

その後は、2人で黙々と食べた。
食べ終わるとゴミを片付け、彼がアイスカフェオレをいれてくれた。一緒にマカロンも出してくれた。
そして、
「…先週のこと、平山と小野·それに青山に聞いたよ。
ごめんな、一緒にいてやれなくて」
そう謝られた。

「ううん、大丈夫だよ。
それに、佐々木くんが謝ることじゃないよ」
「…そっか。…そうだよな」
「…うん」
「…"陽泉は吉田さんと、もう1度付き合うみたい"って青山から聞いた。
…俺に話って、そのことか?」
「…うん」
「……………」
「…先週のあの時、紗英ちゃんが祐介を呼んでくれたみたいで…。
気を失った私を彼の部屋まで運んでくれて、朝、悪夢で目覚めた時に、そばに来てくれたんだ。」
「……………」
「"これから、俺がずっとそばにいるから"って抱きしめてくれて…。
あの時の女性とも"もう会わない"って、私の前で本人に言ってくれた。
…だから祐介のこと、もう1度信じてみようと思ったの。
今までも、ずっとそばで守ってくれていたのは、祐介だったから…」
「……………」


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