笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
情事が終わると、
「これで、俺と陽泉の契約は終わりだな」
「……………」
「…やっぱり身体の相性いいよな?
陽泉から、あんなに求めてくるんだから…」
「……………」
「なーんて冗談だよ!
駅まで送る。
…彼氏が迎えに来るんだろう?」
そう言われて、
「…お願いします」と、頭を下げて身支度を整えた。
バックを持ち、彼について部屋を出る。…もう、この部屋に来ることはないだろう。

駅に着くまでお互い無言。
車から降りると、
「ありがとう。また来週ね」と挨拶をして、彼の車を見送った。
"これで本当に、同期と言う関係に戻ったんだ"
そう思うと少し切ない。

それから私は、祐介に電話をかけた。祐介はすぐに迎えに来てくれた。
私を見つけ、車から降りると、
「ヒナ、おかえり」と抱きしめてくれる。
私も
「ただいま」と返し、彼の胸に顔を埋めた。

"ここが、私の帰る場所。私が選んだ場所。"
強く、そう思った。

佐々木くんが、このシーンを見てるなんて思いもせずに…



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