笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

いつの間にか深いキスになり、舌と舌が絡まり合う。そのままソファーに押し倒しと、シャツワンピースのボタンを外していく。
俺のその行動に抵抗するどころか、逆に俺のシャツのボタンを外していく彼女。
お互い下着姿になると、俺は彼女の胸元に吸い付き、赤い印をつけた。
「…しばらくは、陽泉の彼に見せられないな」と笑いながら。

そう…
実際、他の誰にも触れさせたくない。
陽泉の身体を知っているのは、俺だけでいい。
だけど、そういうわけにもいかない。
彼女は俺じゃない男性(ヒト)を選んだのだし、事実、俺じゃない男性(吉田さん)に抱かれている。
それでも、俺に抱かれた記憶を残して欲しくて、優しく、丁寧に、彼女を愛した。

情事が終わると、
「これで、俺と陽泉の契約は終わりだな」
「……………」
「…やっぱり身体の相性いいよな?
陽泉から、あんなに求めてくるんだから…」
「……………」
「なーんて冗談だよ!
駅まで送る。
…彼氏が迎えに来るんだろう?」
そう言って、先に部屋を出る。
「…お願いします」と、ついてくる彼女。…もう彼女がこの部屋に来ることはないだろう。

駅に着くまでお互い無言。
駅に着き車を降りると、
「ありがとう。また来週ね」と彼女。
俺はすぐに車を出すと、駅の近くの駐車場まで行き、彼女を見守った。

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