笑顔の行方～バスケットが繋いだ恋～

吉田さんは、すぐに迎えに来た。
車から降りると、陽泉を抱きしめる。
彼女もそれに応えるように、彼に寄り添った。

"陽泉はもう、吉田さんを選んだんだ"
目にした光景が、そう告げていた。

そこで俺は1つの決断をする。
『東京に行く』
そう決めた。

先週、東京に行ったのは、知人から中学校のバスケ部の外部コーチに誘われていて、そのチームの練習を見るため。
全国大会出場を決めたチームで、1人1人の能力はもちろん高いし、チームとしての連携も素晴らしかった。
俺がコーチをするのは、この下の年代からになるのだが…。

すごく魅力的なチームだが、迷いがあった。
その"迷い"は、もちろん陽泉の存在だ。
どれだけ初恋を引きずっているんだろう？
本当に情けなくなるけど、陽泉がハッキリと吉田さんとの未来を選んだ今、もう迷う理由がなくなった。

ちゃんと陽泉を諦めるために、俺は陽泉から離れよう。
そう決めた。

諦めがついたら、また陽泉に会いに来ればいい。
いや…
俺と陽泉がバスケを辞めない限り、またいつか、彼女とは再会できる。
そう信じてる。

だから…
俺は陽泉と離れることを選ぶ。

俺と陽泉は、それぞれ自分が決めた道を歩く…