笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~

  遅すぎる告白

それから1ヶ月ほどは、特に何もなく過ごした。
佐々木くんとは、職場では同僚で同期で。
プライベートでは、拓海のミニバスの県大会で、田村さん·愛美先輩と一緒に、コーチとして準優勝に導いてくれた。
チームの代表として、審判もしてくれた。
そして時間があると、拓海の練習の相手もしてくれた。

祐介は大学が夏休みに入り、塾講師とコンビニのバイトを掛け持ちして、忙しいみたいだ。
それでも、金曜の夜から土曜日にかけてはバイトの予定を入れず、私との時間に充ててくれる。
金曜の夜は、祐介の部屋に泊まるのがお決まりになっているが、彼と初めて身体を重ねて以来、彼から求めてくることはなかった。
逆に、
「あの時は俺も急ぎ過ぎた。ヒナも雰囲気に流されてしまったんだろう。次は、ヒナの心の準備が出来るまで待つよ」
と言ってくれている。
佐々木くんがつけた胸元のキスマークが残っている間はホッとしていたが、それが消えた今、どうしたらいいんだろう?
私から「抱いて」と言うのも恥ずかしい。
キスからの甘い雰囲気に流されてみるのもアリだろうか?
後で紗英ちゃんか愛美先輩にでも相談してみようかな?

私が愛美先輩とゆっくり話をする時間が作れたのは、8月の土曜日。
その時に愛美先輩から聞いた話を、私は信じられずにいた。
直接、本人の口から事実を聞くまで…


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