笑顔の行方~バスケットが繋いだ恋~
「佐々木くんと陽泉って知り合い?」

紗英ちゃんの問いに、
「えっ?」
「あぁ」

私と佐々木くんの声が重なった。

佐々木くんを見ると視線が合い、彼は軽く頷くと話し出した。

「彼女とは出身校が同じで、学年は違うけど、バスケをやっていたと言うことで名前だけは知っていた。小·中·高と全国に出場してるから、県のバスケ関係者で、陽泉のことを知らない人はいないだろう。
先日、偶然に共通の知人を通して会ったけど、まさか同じ会社とは思わなかったから驚いた」

私は頷いた。

「へぇ」
「スゴイ!」
「小·中·高と全国ってマジでスゲェ!」
「陽泉、ホント!?」
佐々木くんの説明を聞いて、みんなが私を見る。

「うん、まぁ…」
私は頷く。

「そっか…。それで、なんで佐々木くんは陽泉のこと、下の名前で呼び捨てなの?」
紗英ちゃんの鋭い質問に彼は、
「あぁ。陽泉と会ったとき、彼女の弟も一緒だったんだよ。
だから、"小野"って呼ぶと紛らわしいと思って下の名前で呼んでる」
何でもないことのように答えた。
…それを、少し淋しく感じた。

「…じゃあさ、俺も"小野"だし、陽泉ちゃんは下の名前で呼ぶことにしようぜ」
小野くんの提案にみんなが賛成し、支社の同期では私は"陽泉"もしくは"陽泉ちゃん"と呼ばれることになった。


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